内容についてですが、個人的に点数をつけるなら40点というところです。
努力点を含めての40点です。内容のみだと更にシビアな点数になります。
そもそも無駄のない計算され尽くしたあの単行本5巻分の第1部をわずか90分に圧縮しようというのが不可能な話でした。
監督の羽山氏は「よくがんばりました」。でもファンを満足させることはできなかったなあ。
まして原作を知らない人にはキャラの行動動機をはじめ諸々の部分が不可解な内容だったと思います。
これはしょうがないです。90分ですから。企画側の完全な失敗です。
劇場版デスノのように前編後編に分かれていれば全く違う結果になっていたでしょう。
羽山氏を始め製作スタッフにはそれだけの力はあったと思います。

感じたことを書いてみます。おおまかに。
細かい点については割愛。挙げればキリがないので。

【もっと頑張って欲しかった点】
・作画。荒木絵は無理にしても、エリナはかけ離れすぎ。
・台詞。荒木節名言の大量カット。差し換える理由が見当たらない。
・ジョジョとディオ以外のキャラがあまりに薄い。
・擬音。ハリウッドの音はすごいけど再現しようという情熱がない。
・ポージング。まるでなかった。あってもいいじゃない。
・動きが流れすぎ。決定的瞬間に静止表現をもっと用いて欲しい。
・後半詰め込みすぎ。前半のゆっくりスピードをもっと切り詰めるべき。
・力点が前半にある気がする。クライマックスの感慨が薄い。

【特筆すべき点】
・物語の根幹であるジョジョとディオの関係の描写(ただし前半のみ)
・映画ならではのド派手な表現。やりすぎな気もするがみみっちいいより良い。

比重が違いすぎますね(笑)

<まとめ>
「ジョナサンとディオの関係」を描くのが大事、そのために「2人の幼少時代」をないがしろにしないこと。
これが原作者である荒木氏の唯一の提案だったそうです。
これにとらわれすぎてしまったかなあというのが、正直な感想です。
止む無く登場をカットされたキャラがいるとはいえ、ジョジョの成長や物語に大きく関わっていたり、ドラマを持ったキャラはいます。
そこを描写できていないがために、結局伝えるべきものが薄くなってしまっている。
原作ファンとしてこんなことを言うのはどうかと思いますが、もう少し原作から逸脱した話にしても良かったのではないかと思います。
原作と荒木氏の提案にこだわるあまり、忠実な再現と90分という尺の短さの間のジレンマによって、全てが中途半端になってしまったという印象です。
せめて前半から後半にいくにつれてどんどん盛り上がれる内容がよかったなあ。
映画自体は盛りあがってたけど、疾走しすぎて肝心要の部分で空回りしてしまいました。

色々ありましたが、この映画はファンとして「ジョジョの奇妙な冒険」を新しい視点から見直す機会を与えてくれました。
そういうこともあるので、この映画を見たことを決して後悔はしません。
この映画が広がりを持たせてくれたことは事実です。
映画自体の評価は正直悪いですが、見終わった今とても満足しています。
ますますこの「ジョジョ」という作品の素晴らしさを実感できたからです。
その点は評価し、惜しみない賞賛を与えようと思います。

長い…長いけどまだまだ語り足りない…(笑)

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