立て―。
誰の声かも分からない。
止まない。止まないんだ。
さっきからずっとこの言葉が―。

そして俺は立って歩き始めた。
その言葉の恐怖から逃れる為―
少しでも休めばまたささやきが聞こえる

立ち止まるな―。
進むしかない、そこにしかお前の未来はない。

何なのか俺には分からない―。
言葉は厳しく、そして恐ろしいけれども
こいつは俺を導いてくれる、そんな気がした。
一人では何も出来ないこの俺を。
未来へと誘うための―。

そして俺は闇を抜け、光を見た。
もう声は聞こえない。ただ怖かったあの声は
―もう聞こえない。

「…ありがとう」
俺はそれだけを呟き光へ向かって走り出した。

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